2016.10.18 コラム&レポート
悩み上手・迷い上手なママになろう
あなたはどんなママ?
理想の子育てと現実のギャップに悩むママ、
子育てが上手にできないと自分を責めるママ、
ママ友や雑誌の言葉が気になって自分の考えを見失うママ、
子供の将来は親次第だと習い事やお稽古に必死になるママ、
夫への不満を埋め合わせるために子供に密着するママ、
子供にストレスやイライラをぶつけるママ、
子供を本当に愛しているのだろうかと悩むママ、
我が子とお友達を比べて悲観ばかりするママ・・・・・
悩まないママ・迷わないママはいない
私は、小学校勤務や学習塾経営・フリースペース運営などを通して、長年の間にたくさんの子供やママと出会ってきました。
その経験から言える事は「悩まず迷わず子育てした人はいない」ということです。
どんなにおおらかなママでも、あっけらかんとしたママでも、子供がどんなに優秀でも、いい子でも、ママは悩み迷う時が必ずあるものです。
でもね、そんなママなればこその悩みや迷いに、実は大きな意味があるのだとつくづく感じています。
そこにある子育ての醍醐味や喜び
悩んでいるあなた、迷っているあなたには、悩む力、迷う力があるということ、だからこそ、子育ての醍醐味や喜びを味わうチャンスがあるということなのです。
私が出会った大勢のママが言いました。
「ああ、あのことがあったからこそよかったんだよねえ」と。
悩むこと迷うことを乗り越えながらママ自身は更に素敵になるし、子供は生き生きとたくましく成長できるということなのです。
でもね、悩みっぱなし、迷いっぱなしで、コンプレックスとマイナス思考が増大するだけになっては悲しいなあ。
だから、悩み上手、迷い上手なママになろうではありませんか。
悩み上手・迷い上手のコツ
悩み上手・迷い上手にはちょっとしたコツがあります。
そのコツの一つをお話しましょう。
「なあんだ、それでいいんだ」「よかった、楽になった」「ええっ、それは目から鱗」ということになれば嬉しいですね。
逆に「そうは思わないなあ」ということがあるかも知れませんが、それはそれで、よい刺激になれば嬉しいなあと思います。
『比べること』は悪くない
ママ達と話しているとこんな場面によく出合います。
「この子は全く○○○ができなくて。お友達はみんなちゃんとできるんですけれど・・・」と話してから、慌てて「あ、比べちゃいけないですよね。」と訂正する場面。
個性を大事に子育てしたいという思いを、きちんともっているママに多い言葉です。
そんな時、ちょっと違った私の考えを話します。
「比べてもいいじゃないですか。わが子だけをじいっと見つめていても、きちんと個性をつかむことはできないもんです。」と。
それを聞くと、ママは「えっ?!」って目を白黒。
それもそのはず、いつの頃からか『比べるということ』は偏差値教育の弊害で、個性を無視することであるかのように言われてきましたから。
でもね、ママも教師も神様ではありません。
我が子一人を見つめるだけでは個性をちゃんとつかむことは難しいのです。
いろいろな子供達と比べているうちに、我が子の個性がだんだん意識できてくるというもの。
だから、『比べること』は決して悪いことではないのです。
誤解を恐れずに言うならば、むしろ、親や教師は積極的に『比べること』をしなければならないでしょう。
丸ごとの個性を受け止める
注意しなければならないのは、『比べること』はともすると、異質なものを排除する気持ちや行きすぎた競争心となってしまうということ。
今、大人も子供もこのことで苦しめらていれます。
臭い言葉だと思われるでしょうが、『比べること』で忘れてはならないのは、『愛を持って比べる』ということなのです。
個性の中には、長所もあれば短所もあります。
良いところも悪いところも合わせて、その総体としてあるのがその子の個性です。
大人が考える良い所だけの個性があるとしたら、なんだか、怖いし、人としての魅力が薄っぺらになるような気がします。
いい所も悪い所も丸ごと受け止めてやることが子育ての土台ではないでしょうか。
それが愛を持って受け止めることなのです。
子供だって、発達に応じて、自分とお友達や兄弟を比べるようになります。
そんな時に、自分を丸ごと受け止め『愛を持って比べること』ができるママを見ていると、子供自身も『愛を持って比べること』ができるようになるでしょう。
そして、自分の個性もお友達の個性もちゃんと感じ取って尊重することができるようになると、私は思っています。
さてさて、そのためには『比べる』時の言葉かけが大切です。
こんな言葉はいかがでしょう。
愛を伝える言葉を持とう
サッカーやピアノが上手かどうかなど能力的なことについて、お子さんがすでに意識しているようなら、こんな風に言葉かけしてはどうでしょうか。
「太郎はママの大事な子供。お友達のユウ君のように○○ができなくても、ママが太郎を好きなことには全く関係ないよ。大好きだよ。」
「ユウ君は○○ができて素晴らしいね。太郎はそれはちょっと下手かもね。いいの、いいの。太郎は○○なとこが素晴らしいとママはいつも思っているよ。」
性分や日常の行いについては、こんな言葉はどうでしょう。
「太郎は、お片付けがお兄ちゃんみたいにうまくできてないでしょ。お兄ちゃんは偉いよね。みんな同じようにはうまくできないものだけど、やっぱり少しずつでもできるようにしないとね。」
「太郎は、ユウ君みたいにじっと座れないよね。でも、ママは、太郎が元気に動き回るところが大好きだよ。今度はじっと座ることも頑張ってみようよ。」
ぎゅっとハグしながら話してみましょう。
けれども、忙しい毎日の中では、なかなかゆっくりと子供と話す時間は取れないものです。
日常はそんな甘いものではありませんね。
だからこそ、こんな機会に、愛を伝える言葉を意識しておきたいのです。
意識するとしないとでは大違いです。
夫婦で、ママ友同士で、そんな言葉を話し合ってみるのもいいかも知れませんね。
『比べること』は愛を伝える言葉とセットで
「そんな臭い言葉、私には言えないよ」と思ったママも、ちょっと意識してください。
テレビドラマのようにスラスラとはいきませんが、しどろもどろでも、何となく気持ちは伝わるもの。
その何となく伝わるものが実は大事かも知れません。
『比べること』は決して悪いことではありません。
子育てには『比べる』という道具を使うことが必要なのです。
その時に、忘れてはならないこと、それは、愛を持って比べること。
そして、愛を伝える言葉を意識しておくこと。
悩み上手・迷い上手の一つのコツになればいいのですが、いかがでしょうか。
親子の組み合わせは無限大
今回のような話は、書けば書くほど、きれいごとの世界に入っていきそうで書き辛い部分です。
考えるきっかけにして下されば嬉しいです。
その他にも
「幼稚園や小学校で失敗上手に」
「やればできるで追い込まない」
「先生も親も70点で協力し合う」
「本音で話せる友達を大事に」
「子供をずっと見つめすぎない」・・・
いろいろお話したいことがあるのですが、これが不特定多数のママが読んで下さるネット上では話しにくいことなのです。
「親が必死になってもそんなに成果は出ないもんです。もっと楽に考えてちょうどいいと思いますよ。」と言いたいママもいれば、
「もっと子供さんを見てあげて。ちゃんと話を聞いてあげると変わっていくことがきっとあるから・・・」と言いたいママもいます。
「のびのび」と「我がまま放題」の区別も難しいし、「子供は親次第」と言うけれど「子供って親の思うようにはならない」というのも事実。
親も違えば子も違う。その環境がまた千差万別。
組み合わせは無限大。
長年、子供達を見てきた私も未だにはっきり言えないことばかり。
子育ての悩みはそれぞれオリジナル
みんなに当てはまる子育てのマニュアルはないのです。
あなたの悩みはあなたのオリジナル。
私のようにいろいろ言う人がいたとしても、それは、その人の考え方や体験です。
あなたの悩みは誰にも体験できないもの。
神様からあなただけに下さったプレゼントに違いありません。
あなたはチャレンジャーです。
そんな自分を「かっこいいなあ」と意識しながら悩みましょう。
子育てのベテランに話を聞くことは大事なことですが、それに縛られてプレッシャーに感じることもありません。
でもね、そんなチャンスが多くあると、気が付いたらいつの間にか腑に落ちて自分の力になっていることもあるものです。
そのくらいのことです(笑)。
まずは、子供さんと一緒に過ごせる楽しさをうんと味わってください。
それでは、また・・・
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講師プロフィール
フリーライター
「かなべん」主宰 宮内香苗
(宙に浮く棒を操って遊ぶカナエモン)
・昭和31(1956)年八幡浜生まれ 60歳
・旧保内町の小学校と愛媛大学附属小学校の教員として、合わせて13年勤める。
・小学生の学習塾「まなびスペース・ライブリー」を松山市一番町に開き、
23年間、基礎的な学習指導や中学受験指導を行う。また、不登校の子供達のフリースペースを運営し、子供や母親の支援を行う。
・現在は、「月刊インタビュー」(新居浜・ナレーション発行)や「マチボン」(松山・SPC発行)などを中心に、フリーのライター・インタビュアーとして活動する。
・3年前より「かなべん」として、オリジナル教材の開発や母親講座の開催も行っている。
・家族は石彫家の夫。夫の石の加工や据え付けの現場を手伝うこともある。子供はいないが、若い友人の赤ちゃんを抱っこするのが大好き。
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