2018.06.15 コラム&レポート

子どもの作文で、大切にしたいたったひとつのこと。

はじめまして。
フリーランスの編集ライター、文筆業で活動している高田ともみです。
書くことで得た経験を、地域の子どもたちにも還元できたらと思い、
不定期で子ども向けの作文教室「子ども表現の教室」を主宰しています。

●りんごと自分

さて、いきなりですが、目の前にりんごがあります。

このりんごについて、
遠くにいる友達に写真を送るのではなく、言葉で伝えるとしたら、
何をどのように描写するでしょうか。

色、形、それとも値段、匂い、触ってみた感触、
そもそもなんでこんなところにりんごがあるんだ?という疑問……

私の場合は、こんな感じになりました。

片手で持つのがやっとの大きさ。
表面は淡い赤色で、下の方が黄色味がかっている。
匂いはさほど強くなく、ほんのり甘い。
値段チェックするの忘れた……

こうやって書き出すだけでも、
「私」という人間の、りんごに対する視点がダダ漏れです。

言葉とは、その人自身。

目の前のりんごを、私と全く同じように表現する人はいません。
その自分なりの視点について、
「ふつう」だとか「よい」「わるい」の枠に入れてほしくない。

私が、こども向けの作文教室を主宰する、
根底にある思いです。

●「伝えたい!」気持ちがベース

そもそも、なぜ「書けない」と思ってしまうのか。
普段、あんなにしゃべっているのに(笑)。

ひとつは、書こうとする内容やテーマを
大きくとらえ過ぎていて、
「伝えたいことがない」
と思ってしまうからだと思います。

「伝えたい」と思う、その主語は、「わたし」です。
「伝えたいことがない」と思うのは、
例えば「りんご」と、自分とを関連づけて
捉えられていないからです。

「子どもにはまだ難しい…」って思ってしまう
気持ちもわかります。

でもそれって、

「ねえねえ、このダンゴムシ見てッ!」

といって駆け寄ってくる子どもの衝動と、
そう大差ないと、私は思っています。

今なぜ、手のひらの上で数匹のダンゴムシが
うようよしているのか(笑)。
それを伝えることは、子どもにとってもきっと、
エキサイティングなことに違いありません。

その衝動を起点に、子ども自身が
「伝える」「伝わる」を実感できるとしたら、
書くことは、純粋に楽しくて、嬉しい時間になると思いませんか。

●自分だけの言葉で語る

原稿用紙に向かうのが億劫なら、
日々の会話の中で、できることがあります。

子どもが書きがちな
「たのしかったです」「おもしろかったです」「すごかったです」
を連発する作文にがっかりさせられるのはなぜかというと、
中身が見えないからです。

中身とは、具体性。
具体性とは、
子どもが五感を通して見て、きいて、ふれて、感じたこと
(=自分)です。

例えば学校から帰ってきたら
「今日どうだった?」
なんてつい、聞いてしまいますが、
それじゃあ、子どもは「つまんなかった」と答えるしかない(笑)。

そうではなくて、
子どもが具体的に答えられる小さな問いを
投げかけるようにしてみたらどうでしょう。

「今日は、何をしたときに一番ドキドキした?」
「今日、一番笑ったのは何をしてたとき?」
「そのとき、心臓の音はどんなふうに聞こえた?」
「そのとき、何が見えた?」
「そのとき、どんな匂いがした?」
「そのとき、友達はなにをしてたの?」

出てきた答えを並べるだけでも、十分、
情景描写の作文になる。

「運動会がおもしろかった」
ではなく、
「出番を待っているときにおなかがぐーっと鳴った。誰にも気付かれなかった。」
と書く。

「人権はとても大事です」
ではなく、
「今日、友達が遊ぼうと誘ってくれた。とても嬉しかったから、私も誘ってみたい。でもやっぱり恥ずかしい」
と書く。

いいこと書く必要はありません。
物事の大小も関係ありません。
ダンゴムシでも、日米首脳会談でも、
紡ぎだす言葉に、その子の体温が宿っていないと
伝わる文章にはならない。

言葉は、その子自身です。

目の前にあるりんごと対峙した自分の
体験、感覚こそが、その子のオリジナリティを作っていく。

書くという行為で一番重要なのは、

“自分だけが語れる言葉で、語っているか”。

それだけなんです。

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※「こども表現の教室」は新居浜市を拠点に開講する、こども向けの作文教室です。
ゲームや遊びを取り入れながら、子どもたちが自分から「書きたい!」と思えるテーマを設定して、毎回ひとつの作品を仕上げています。
目標は「書くって楽しい!」と思ってもらうこと。自分を表現する自信と面白さを積み重ねていきたいと思っています。講座は不定期です。

■プロフィール
高田ともみ/出版社勤務、日本語教室などを経て、2008年フリーランスライターに。雑誌や書籍、地域メディアなどで取材・執筆・構成などを手がける。新居浜市を拠点に子ども向け作文教室「子ども表現の教室」を主宰(不定期)。著書に、中国での体験を描いた『中国的「今を生きる」生活。』(書肆侃侃房刊)がある。

「こども表現の教室」 facebook
https://www.facebook.com/%E3%81%93%E3%81%A9%E3%82%82%E8%A1%A8%E7%8F%BE%E3%81%AE%E6%95%99%E5%AE%A4-1547984068582103/?modal=admin_todo_tour

『中国的「今を生きる」生活。』書肆侃侃房より発売中!
http://www.kankanbou.com/kankan/?itemid=866

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